奈良の一刀彫 万葉堂

お知らせ

2019/05/12

「奈良一刀彫 万葉堂 雛人形のお顔について」

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奈良一刀彫・雛人形のお顔の作り方について説明いたします。


ざっくり彫り上ったお顔の土台は、紙やすり(サンドペーパー)で丸く磨きます。
その上に胡粉(貝の粉から出来た白い絵具)と膠(にかわ)を混ぜ合わせて、お顔の色を作ります。
この時、膠の分量が多いと顔にヒビが入ったり、少ないと剥がれたりする場合があります。
胡粉と膠の配合は、とても難しく、長年の経験と技術が必要です。


この胡粉を約10回塗り重ね、絵具に厚みを作ります。
筆むらが残らない様に、気泡が入らない様に気を付けながら塗り重ねます。
完全に乾いたら、紙やすりで磨き、卵の様なつるりとしたお顔が出来上がります。


次に、盛り上げ胡粉で耳を付け、墨で髪の毛を描きます。


お顔描きは、盛り上げ胡粉で鼻を付けるところから始めます。
この時の盛り上げ胡粉と膠の配合も難しく、また外気温とも関係しますので、10月中頃から11月中頃に鼻を付けると、
盛り上げ胡粉が凹むことなく仕事がスムーズに運びます。


次に目を描きます。
薄墨を使って白目を描き、少し濃い目の墨で瞳を入れます。
目を入れる時が、一番気を使います。


口は、爪楊枝の先を丸くして、朱色の絵具を付けて一回で置く様にします。
最後に、薄墨で眉を入れて出来上がりです。


お顔描きは、何十年と続けていても満足のいくお顔は、なかなか描けません。
永遠の課題かも知れませんが、お客様から愛される、可愛らしいお顔を書きたいという気持ちで、日々努力を重ねています。

 

制作工程などの動画も、こちらからご覧下さい。